教育という名の虐待

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人間関係がうまくいかない、生きている実感がわかない、怒りがコントロールできない……。「教育」という名の「虐待」にとらわれてしまった親と子供の闇を照らす衝撃の書!


昔から、日本の義務教育は上からの押し付けのようなものが強く、子供たちにとって喜んで、楽しく学べるものではありませんでした。

でも、戦後間近の頃は子沢山の家庭も多く、小中学校での生徒数も、現在と比べると格段に多かったですから、子供たちにとっても学校の空気もおおらかで、それほどストレスが溜まるほどではなかったと思われます。

しかし、その後の日本の経済発展と共に、核家族化が深刻になるに連れて少子化が極端に進んできた結果、学校での生徒数も激減しています。

私が子供の頃は、小学校では1クラスに50人以上の生徒がおり、クラス数も1学年で6~7組もありました。現在の各地の小中学校の様子とは全く違います。



現在のように義務教育を受ける生徒数が激減した状況では、1クラスの人数も少ないので、生徒たちにとってはより良い環境で学べるのかと思いましたら、然にあらずのようです。

こうした教育状況の中で、学校だけでなく家庭での教育環境も大きく変わってきています。最近、特に指摘されるようになったのが、「教育虐待」という現象です。

何時の時代でも、親は子供に期待する面があり、学校の勉強がよくできるようになって欲しいと願っています。唯、最近はそれが極端になっている親たちが目立っているようです。



そもそも、「教育虐待」などとというイヤな言葉が公に使われたのは2011年12月に、「日本子ども虐待防止学会」で武蔵大学の武田信子教授が、「子供の受忍限度を超えて勉強させるのは『教育虐待』になる」と発表したことによるようです。

同教授は、「『教育』の名のもとで親の言いなりにさせられるケースはもちろん、親の所得格差が子供の学習権に大きく影響する状態も『教育虐待』に含まれる。さらに、教育システムが知らず知らずのうちに子供たちを追い込んでいる日本の状況自体が、社会的な意味における『教育虐待』に当たる」、とも指摘しています。

この教育虐待の実態について、冒頭に掲げた本の著者である、おおた としまさ氏(育児・教育ジャーナリスト)は、「東洋経済 ONLINEE」上で『「あなたのため」が「教育虐待」に変わるとき』という、下記の記事を掲げておられます。



ーー引用はここからーー

成績が悪いことをなじられて、子が親を殺すという悲惨な事件はときどき起こる。有名なのは、1980年に予備校生が金属バットで父親を撲殺した事件だ。成績や進学をめぐって、医師である父親との葛藤が背景にあったと報道された。

記憶に新しいところでは、2006年、有名進学校の高校生が、義理の母とその子どもたち、合わせて3人を殺害し、自宅に放火した事件。少年は、父から医師になることを命じられていた。成績が悪ければ、罵倒され、暴力も振るわれていたという。犯行動機は父親への腹いせだった。

「教育熱心過ぎる親が、子どもを追いつめる」

このような事件が報道されると、マスメディアは一様に、「学歴社会の歪み」や「偏差値偏重主義」や「エリート志向」などと批判する。世間知らずのエリート一家が起こした特異な事件として扱う。

これらは本当に特異な事件なのだろうか。追いつめられた子が親を殺す事件は、大きく報道される。しかし、追いつめられた子が、自殺した場合には、原因もよくわからないまま、自殺件数のひとつとして記録されるだけだ。

殺人にも自殺にも至らなかった場合でも、追いつめられた子が、大人になっても精神的に追いつめられ続けている場合があることが世の中から注目されることは、少ない。

「教育虐待」という言葉を知っているだろうか。「教育虐待」とは、「あなたのため」という大義名分のもとに親が子に行う、行き過ぎた「しつけ」や「教育」のことである。


「母親という名前の宗教」

『追いつめる親?「あなたのため」は呪いの言葉』(おおたとしまさ著、毎日新聞出版、税別1000円)。「あなたのため」という言葉を武器に過干渉を続ける親に育てられ、「生きづらさ」を感じ、自分らしく生きられない子供側の様々なケースを紹介。教育虐待の闇を照らし、その社会的背景を考察し、「教育とは何か?」「親の役割とは何か?」というテーマに踏み込む。上の画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

知佳さん(仮名)も「教育虐待」の被害者だった。学歴がないことが、両親のコンプレックスだった。「あなたはなんとしても大学に行きなさい。お父さんとお母さんのような悔しい思いはさせない」。知佳さんは幼いころからそう言われて育った。物心がついたころから、毎日ピアノの練習と勉強をさせられた。遊んだ記憶は、ほとんどない。

テストの点が悪いと殴られた。テストでいい点をとって、喜んで報告しても怒られた。「勘違いしないで。テストでいい点がとれたのはあなたの力じゃない。お母さんのおかげなのよ。わかってる?」と言われるのだ。

小学校の友達と交換日記をしているのを見つかったときには、「勉強以外のことをするな」と怒鳴られ、叩かれ、その後1カ月間、無視された。

中学生になると、知佳さんは自殺も考えた。今思い返せば、本気で死のうとしていたわけではなかった。「どうでもいい」という感じだった。「ここで人生が終わっても、私は悔しくない」。母親が悔しがる姿を見てやりたかったのだ。

自分が「教育虐待」の被害者であると、知佳さんが気づいたのは30歳を過ぎてからだった。結婚してから、夫にやたらとくってかかるようになった。明らかに八つ当たりだった。さらに子どもをもうけようと思ったとき、とてつもない恐怖と不安が襲ってきてパニックに陥ったのだ。

知佳さんは心理カウンセリングを受け、ようやく過去のトラウマから解放された。「私は、『母親という名前の宗教』にとらわれていました。母の信条に反することをすれば天罰を受けることになると思い込んでいたのです」。知佳さんはようやく「母親という名前の宗教」を抜け出した。母親に恐怖を感じなくなった。


生きている実感がない。職場でも恋愛でも、どうしても人間関係がうまくいかない。原因は自分でもわからないけれど、いつもイライラしていて怒りっぽい。そんな、満たされない感覚が常にあるのだとしたら、もしかしたらあなたも、「教育虐待」の被害者なのかもしれない。


子供たちが塾の自習室に集まるわけとは?

教育熱心過ぎる親というのは昔からいた。ただ、就職難、終身雇用制度の崩壊、経済のグローバル化、変化の激しい時代など、世の中の先行きに対する不透明感の中で、子どもの将来に不安を感じる親が今の時代に増えている。

「英語は早くからやらせたほうがいいのか」「プログラミング教育をしておいたほうがいいのか」「海外の大学に留学をさせたほうが就職に有利なのか」など、子どもが少しでも有利に世の中を渡り歩いていけるようにと、必死だ。

世の大人たちは、英語、プレゼン能力、ディベート技術、プログラミングなど、はやりもののアクセサリーのような知識や技能を子どもたちに身につけさせようと躍起である。ちょっと前まではそれが「学歴」というパッケージ商品であっただけだ。

本当に必要なものがなんなのかがわからなくて不安だから、念のため、あれもこれもと子どもにやらせる。だからきりがなくなる。どこまででも追いつめてしまう。おまけに少子化できょうだいが少ない分、ひとりの子供にのしかかる親の期待と不安は倍増している。

昨今、塾の自習室で勉強する子どもが増えている。はじめ、私にはそれが不思議でならなかった。使い慣れた机・椅子がある自分の部屋で、誰にも邪魔されずひとりで集中するほうが勉強ははかどるのではないか。自習室に行くのは「やってるつもり」になれるからではないか。しかし拙著『追いつめる親?「あなたのため」は呪いの言葉』執筆のために教育虐待の現状を取材するにつれ、そうではないと気づいた。

塾の自習室がはやっているのは、裏を返せば、子どもたちにとって家庭が息苦しい空間になってきているということなのかもしれない。教育熱心な親がいる核家族の子ども部屋は、子どもが勉強するには最悪の場所なのかもしれない。

ーー引用はここまでーー



上記で引き合いに出されているようなケースは、結構あるのではないでしょうか。私は何も偉そうなことは言えませんが、未だに世間では、学歴偏重の傾向にあり、多くの大人が、地位や名誉や金銭を得ることが幸せなことだと錯覚しています。

そのために、子供たちをより良い学校に入れ、大企業に就職させ、出世をして経済的な安定を願っている親たちが多いわけです。しかし、そうした旧来の生き方は通用しなくなっているのが現代です。

それから皆が考えて置かねばならないことは、親になって子供を持つということは、子供が1歳になれば、自分も親として1歳であるということです。子供が10歳になれば、自分も親として、やっと10年の経験をしたことに過ぎません。

ですから、義務教育を受けるようなった年齢の子供に対しても、自分は親としては同じ年数を重ねたに過ぎませんので、決して、子供より偉いわけではありません。



この点が、親として十分に理解できていれば、子供に対して上から目線で、偉そうに、あれこれと文句を言ったり、感情的に怒ったりすることの間違いに気づくはずです。

結婚して子の親になることは、子供と一緒に自分も親として成長していくことを学ぶ機会が与えられたわけですから、子供と同じ目線で考えて行動することが大切だと思います。

私は何もこんな偉そうなことを言える立場ではありませんが、馬齢を重ねるに連れて、こうしたことが真理だと言える立場ににはなってきました。



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