介護福祉士の現状

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日本は急速に少子高齢化が進んできて、社会構造に大きな変化が起こっています。特に、多くの家庭で高齢者を抱えて、その介護が問題になっています。

昔は、大家族の家庭が多く、高齢者の面倒も家族でみることが当たり前でしたし、臨終に際しても家庭で見送ることが普通でした。

しかし、ある時期から核家族化が急速に進み、子が親元を離れて暮らすのが当然のようになってしまいました。そのために高齢者だけで暮らす家庭も増えてきたわけです。

一方、家を出て行った子供たちも、自分たちが高齢者と言われる時を迎えた時に、自分たちの世話をしてくれる者達がいないことに氣付き始めたのが、現在の日本の現状です。



日本全国至る所で、老老介護をせざるを得ないような人々が沢山おられます。中には、親の長年の介護が必要だったということで、ご自分の結婚を断念された方も結構おられます。

こうした社会の大変化に対応する意味で、ある年から介護保険制度が設けられましたが、これがまた色々な問題を抱えて、上手く機能しているとは言えません。

ここでは、この介護制度の現場で働いている介護者(介護福祉士)の問題に限って取り上げてみます。介護保険制度ができてから、介護福祉士の資格制度もできて多くの方が資格を取って働いておられます。



ところが折角、資格を取って有料老人ホームや特養ホーム、或いは訪問看護の場で働いてみると、自分たちが抱いていた介護の夢と現実との大きなギャップに、失望してしまう人が沢山出てきました。

それはそうでしょう。介護や福祉などというと、如何にも人の為になる仕事だと考えてしまいますが、普通のビジネスとは違います。

相手は身体が不自由な人たちばかりです。幾ら専門学校でその扱い方や対処法を学んでも、その作業は大変な肉体労働になります。



幾ら若くて体力があっても、毎日そのような肉体労働を続けていると、心身共に疲労することは自明のことです。

更に、そうした厳しい労働の対価としての給料はどうかと言いますと、これがまた低い水準に抑えられており、介護福祉士の賃金だけで家族を養うことは難しいのが現状です。

そのために、折角、希望を頂いて介護の仕事についても、やむなく止めていく者達が急増しています。このままでは、やがて介護福祉士になる若者がいなくなるかも知れません。

この辺りの危機ついて、「毎日新聞」では現状の一端を下記のように報じています。



ーー引用はここからーー

過酷さの割に賃金が低いと指摘される介護職。政府も手は打ってきたものの、依然、他業種との格差は埋まらない。人材確保には、賃金アップか外国人の活用か--。ここへきて国の姿勢も揺れている。【遠藤拓、佐藤丈一、中島和哉】 

常夜灯がぼんやり照らす廊下を、おむつやタオル、ごみ箱を積んだ台車が行き来する。11日深夜。東京都葛飾区の特別養護老人ホーム(特養)「葛飾やすらぎの郷」に勤めて3年目、生活援助員の宮崎梓さん(22)の夜は長い。

1フロアには約40人が入居する。大半は80~90歳代で7割は認知症だ。同僚と2人、一晩で4回は巡回し、おむつを替え、トイレを介助し、体位を変える。消灯後も徘徊(はいかい)する人はいるし、繰り返し呼び出しボタンを押す人もいる。

ひと息つけるのは午後11時の食事と2時間の仮眠の間だけ。「朝方トイレに行きたくなりそう。でも、呼ばないようにする」。そう気遣う女性入居者に、宮崎さんは「気にしなくていいんですよ」とほほ笑んだ。

月4~5回の夜勤日は、午後5時前から翌朝10時前までの勤務。しかし、この日は引き継ぎ書類の記入やシーツの交換に追われ、朝食にありつけたのは昼近くになっていた。


◇平均を9万円下回る

正規職で介護福祉士の資格を持つ宮崎さんの月給は、手取りで約18万円。15万円を切るという同業の友人よりは「恵まれている」と感じる。とはいえ、介護労働者の賃金は他業種に比べて低い。全国労働組合総連合のアンケート調査(昨年10月)では、手当を除く正規職の平均賃金は20万7795円。厚生労働省調査の全産業平均(29万5700円)を約9万円下回る。

長らく介護は主婦による家事労働とみなされてきた。職業としての確立が遅れ、低賃金から抜け出せない。介護労働安定センターによると、介護職の離職率は17.0%(2011~12年)で、全産業平均(14.8%)を上回る。求職者1人に働き口がいくつあるかを示す2月の有効求人倍率は2.19倍。全産業平均(1.05倍)の2倍だ。

「家族を養えないからな」。首都圏の介護施設に勤める30代の男性介護福祉士は、結婚を機にそう言って「寿退社」していく仲間を大勢見送ってきた。この道7年目。専門学校の同期80人のうち、続けているのは十数人。自身の手取りは初任給から2万円ほど上がり、ようやく月約23万円となった。が、同業の妻は初めて産んだ子の育休中。共働きでなければ生活は成り立たず、保育所を確保できるかが不安でならない。

「仕事に夢を見られない。このままなら、なり手はどんどんいなくなる」

日本海に臨む金沢市郊外の特養「やすらぎホーム」。入居する母(83)の昼食介助に隣の石川県野々市市から訪れる主婦(64)は通ううちに介護職員の疲弊を知り、入居者の家族と職員の処遇改善を求める署名に取り組むようになった。

母親が入居したのは06年10月。脳梗塞(こうそく)で半身不随となり、食事、排せつなどすべてに介護が必要だ。感情が高ぶるとパジャマを歯で切り裂く。そんな母をてきぱき世話してくれる職員たちも、入居当初からの顔なじみは3人に1人ほど。慣れた頃にはいなくなるからだ。この主婦は訴える。「親の面倒を見るかのようにしてくれた職員が、どんどん辞めている。専門職にふさわしい給料が必要です」

ーー引用はここまでーー



先ほども言いましたが、上記の給料の問題の他に肉体労働による腰痛に悩んでいる介護福祉士が多いのが現状です。

何でも、介護現場で働く職員の約7割が腰痛を抱えているそうで、腰痛で仕事を辞める人も結構おられるようです。本当に大変な肉体労働だと思います。

厚労省の調査によりますと、社会福祉施設での休業を伴う腰痛の発生件数は1002件(11年)で、02年の363件から10年間で2・7倍に増加しているそうです。

高齢者介護施設を対象にした08年の調査では、職員の7割以上に腰痛などの痛みがあり、4人に1人が医療機関を受診していたとのことです。



結局、介護、介護と言っても、現場で働く人々の環境が改善されない限り、幾ら厚労省が上から目線で指導したところで、今後の展望は開けないことになります。

しかし、介護保険ビジネスになっている現状を考えると、ビジネスとしての介護と福祉の一環としての介護という矛盾を解決することは仲々困難なことです。

今後も益々、高齢化が進むことになりますので、一人一人が晩年に介護の世話にならなくてもいいような生活を構築していくことが大切です。



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